2023/03/03
viviONのWEBTOONづくり - 第2回viviON座談会
岡本 純(Jun Okamoto)/コンテンツ部 IP開発チーム マネージャー
プロデューサーとして数多くのコンテンツ制作に関わる。
WEBTOON産学連携プロジェクトでは企画立ち上げを担当。
宮崎 晋輔(Shinsuke Miyazaki)/コンテンツ部 comipoチーム
viviONの運営する電子書店アプリ『comipo』で、編集業務を担当。
WEBTOON産学連携プロジェクトでは、講師として登壇。
菅原 聖(Sugawara Sho)/コンテンツ部 WEBTOONチーム
viviON WEBTOON、及びWEBTOON産学連携プロジェクトで、
制作進行業務を主に担当。
―― viviON WEBTOONでは、現在クリエイターの求人をされているんですよね。どんなスキルをお持ちの方が良いかおうかがいできますか?
岡本:創作に対して情熱のある方が良いです。
作品を作る上で知識や論理的な思考は大切。でも、最終的には熱量が決め手になるので、パッションあふれる方を大募集しています!
菅原: WEBTOONスタジオとして、あえて今まで明確に制作の方針を決めてきていない理由もそこにありますよね。
岡本:そうですね。創作者と編集者の『これが面白いんだ!』という情熱をカタチにするには、明確な方針はときには邪魔になってしまいますから。
熱量の高い現場から生まれた作品は、読者の共感を生み、徐々にでも様々な人へ伝わります。感情が動くから結果的にヒットにつながる。そんな考え方のスタジオにしたいんです。
―― それは素敵ですね。ところで、ここにいる皆さんはどんな作品を作りたいのでしょうか?
宮崎:僕は、作家さんの情熱がたっぷりと注がれた“とがったもの”が作りたいですね。
―― 具体的にはどんなジャンルになるのでしょうか?
宮崎:端的に言えば、キャラ萌えですね。
100人に刺さるものには興味がないんです。その中の1割、たった1人にでも深く刺さればいい。WEBTOONは世界各国に読者がいるので、1割だけでもすごい母数になると思いませんか?
以前読者の方から、僕が担当した作品のキャラクターからお子さんの名前をとった、というお話をいただいたことがあって。そのときは、作品がここまで深く刺さることがあるのだなと驚きました。
―― なるほど、宮崎さんが編集された作品を早く拝読したいです!今度は元々アニメ業界にいらっしゃった菅原さんにお聞きしたいのですが、アニメとWEBTOONを比べて、制作の違いや、逆に共通することってありますか?
菅原:共通点については、アニメの制作にも熱意が必要なことでしょうか。
特に、オリジナルアニメを立ち上げるときはプロデューサーの情熱が何より重要でした。プロデューサーが確固たる作品像を持って、脚本家やアニメーターなど、各分野のプロを集めて作品を作る。そういったところは、似ているなと思います。
―― なるほど、どちらにも情熱は必要不可欠なんですね。ちなみに、菅原さんにも宮崎さんのようなこういう作品を作りたい! というイメージはありますか?
菅原:そうですね、あえて言うなら人の心の内側に触れられるような作品が作りたいです。
どんな人も生きていると楽しいこともつらいこともあるじゃないですか?
そういった“生身の人間”にフォーカスを当てた作品を作りたいです。
―― 深いですね、ヒューマンドラマ系になるのでしょうか……。最後に、編集長である岡本さんはいかがですか?
岡本:少し菅原さんと答えが似てしまうのですが、私は人の心が動く作品を創造したいと考えています。どんな媒体・内容であっても、結局届ける先は『人』ですから。
―― では、WEBTOONで感情を動かすにはどのような作品がいいと思いますか?
岡本:そうですね、ジャンルや表現など具体的な話ではないのですが……。
WEBTOONは、手動で鑑賞する映像フィルムに近い。なので、スピーディに展開しても心を揺さぶることができるようなシンプルで直感的、かつ強烈なものが好ましいと思います!
―― ありがとうございます、どんな作品が出来上がってくるのかとても楽しみです。さて求人募集のお話に戻るのですが、「情熱のある人」の具体的な人物像はありますか?
宮崎:クリエイターに限ったことではないんですけど、「自分が面白いと思ったものを他人にも言語化して布教する」ことができる人が欲しいですね!
たとえば編集者さんだと、読者に対しては自身の担当作品を短くわかりやすい言葉で端的に布教できて、作家さんに対しては「今こういうのが面白いと思っていて、あなたの作風にはこういうのがあっていて」と愛情をもって助言できるような人がいいです。
菅原:ちなみにですが、情熱がある人ってどうやって判断していますか?
みんな、聞いたら「あります!」って言うから、測るのが難しいなと感じていて(笑)
岡本:語弊を恐れず言うと、『悪い子』がいいですね。
宮崎:ああ、ちょっとわかります。
自分の好きっていう感覚を信じ、いい意味で周りの意見を無視して、突き進むことができる悪い子がほしいかも。
1回ボツをもらった企画書をなにも変えずにもう一回出す、くらいの小ズルさがあってもいいですね(笑)
岡本:ですです、そのくらい自身の揺るがない芯がある人が良いですね!
―― いい意味で悪い子、ということですね。もう一つお聞きしたいのですが……実際のところ、WEBTOONで十分な収入を得ることは可能なんでしょうか?
宮崎:もちろんです。WEBTOONは世界各国に読者がいて、より多くの人の目に届きやすい。紙とは違い、スマートフォンが1台あれば読めるし、縦スクロールだから言語のハードルも低い。
菅原:読者の母数が多くなると、自然とマネタイズにもつながりやすくなりますよね。
―― ちなみに、編集部としてはマネタイズってどこまで意識されますか?
岡本:かなり意識しています。
熱量の話と重なる部分なんですけど、『良い』ものを作って、沢山のユーザーに『良い』と感じてもらうことでマネタイズに繋げたい。そのために企画から制作、プロモーションまで、様々な工夫や仕組みを取り入れたいですね。それが広い意味での『創作』だと信じています。
そのうえで、プロジェクトに関わるメンバーには自由な発想でいろんなチャレンジをしていってほしいですね。新しいことも意欲的にチャレンジできる精神を持っていてほしいと願っています。
菅原:確かに。そういう新しいことにチャレンジできる仲間がほしいですね。WEBTOONをつくるにあたって、わくわくしている人、同じ青写真を描ける人がきてほしいなぁ。
―― ありがとうございます。11月26日に学生向けのイベントを開催されると伺いました。これは、どんな目的で開催をされるんですか?(※本インタビューは2022年11月7日に実施)
菅原:今回のイベントは学生さん向けの弊社紹介、および採用希望者への相談がメインですね。というのも、実はWEBTOONを上手に作れるクリエイターってまだそんなに日本にはいないんですよ。
WEBTOONは若年層にマッチする媒体ですし、それならば若いクリエイターを育てていきたい、と思いまして。
宮崎:そうですね。あまたあるスタジオの中で、viviONはこういういいところがあるよ、と弊社の魅力を伝えたいですね。
岡本:幅広い分野の事業を手がける会社なので、ただ作るだけではなく、作品の書籍化、音声化なんかもできますからね!
他にも、海外事業部などもあるので、翻訳をおこなっての海外展開もできますし、結構夢いっぱいですよね?
宮崎:ですね。
もちろん学生さんだけじゃなくて……現役のマンガ家さん、編集さんたちも、WEBTOONにまだまだ忌避感がある方も多くいらっしゃると思うんですけど、一回飛び込んでみてほしいなぁ。
viviONなら、やってみたいことはだいたいチャレンジできるから、この機会を活かしてほしいですね!
菅原:viviONでは常にクリエイターを募集しています。
「雑誌社でデザインをしていた~」「ずっと漫画を書いていた~」「イラストレーターさんでマンガは未経験の方~」など、どんな方でも年齢、職業問わずでご応募いただけます。
宮崎:まずはポートフォリオを見せてもらいたいですね。
それで、どこがその人の強みなのかをすり合わせて、その強みを100%活かせるポジションをご紹介させてほしいです。
岡本:未経験の方には弊社で多くの経験を積んで育ってほしいです。
経験者の方は次世代のクリエイターにスキル継承をしてもらいつつ、若い人からイマドキのカルチャーを学んで、新たな挑戦をしてもらう。
双方に良い影響がある形で関わってほしいです。
菅原:漫画家として活躍している方は若い人たちに技術を。若い人は感性をベテランに、と相互で受け渡しできるとベストですよね。
岡本:はい。年齢も出自もバラバラだからこそ、新しい着想と学びがあるんじゃないかなと思っています。
なので、まずは『年齢』『経験』何も気にしないで応募してほしいですね!
インタビュアー・ライター/あいざわあつこ・鮎澤圭亮